雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

学びとは何か

 

 

今井むつみ著。前回読んだ「言語の本質」も大変興味深かったが、本書も同じく素晴らしい。著者の執筆姿勢は単に研究記録をまとめるものではなく、自身への問いを重ねることで深堀りし、読者と共に探究していくスタイルなので、読んでいて面白いのだ。

 

さて、知識とは何か。我々は知識を得るために必要なスキーマ(構造)を構築している。そして知識を得る度に(必要に応じて)スキーマを再構築していく。つまり、知識はシステムの一部であり、個別から全体へ、全体から個別へと影響を与え合いながら理解は進んでいく。つまり、意味を理解することが必要であり、単語集のような「丸暗記」型学習では知識を習得することは困難だ。無意味とは思わないが、「使える知識」「生きた知識」にしなくては、それは身体の一部になってくれない。

 

著者は、死んだ知識、使えない知識を例えて「ドネルケバブ・モデル」と呼ぶ。それは「事実=知識」という考え方であり、「学ぶとは知識(記憶)の量を高く積み重ねること」という認識を指している。個々のピースをくっつけたり切り離したりすることができる、それを知識だと捉えること自体の誤りを著者は指摘している。そう、大切なのは「知識」そのものではなく、まず「知識観」なのだ。

 

主体的に学ぶ人は、自らのスキーマを変容させる。仮説を立て、証拠を集めて解釈し、自らの仮説を検証し、自身の論理を積み上げていく。そうした科学的思考力を育てていかないといけない。著者は、何であれ熟達に達するためには、「自分が最も大事だと思うことを長期にわたってやりぬく訓練」が必要と主張している。また、葛飾北斎を引き合いにして、「真に創造的な人は、向上することへの挑戦を止めない人」と語る。

 

今、学校では子どもたちに「主体的な学び」を進めており、探究型学習に取り組んでいる。「知識は教えてもらうものではなく、自分で発見するもの」と主張する著者は、「親も探究人であること」を求める。同時に、学びのヒントは遊びにある、と主張する。

 

メモとして残したいことが山ほどあり、どれもこれもうなずくことばかり。気付きの多い読書体験だった。