阿部公彦。言葉は、その言葉が有する意味だけでなく、文脈によって解釈が変わってくる。さらに、文章の形(契約書、レシピ、法律、小説、詩・・・)によっても、言葉の与える力は変化する。文章を読み解くということは、ひとつひとつの言葉がどう連なっていくかを丹念に追いかけることであり、初めから「論理」と「文学」に分かれているわけではない。結局、著者が本書でターゲットにしていたのは「論理国語」と「文学国語」の分離なのだろう。
現在の学習指導要領では、国語が「論理国語」と「文学国語」に分かれており、高校生はどちらかを履修する。しかし、文学から離れた論理など存在せず、論理力のない人に文学は読解できないはずだ。「実用的」という表面的な言葉に踊らされてはいけない。