雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる

 

 

成田悠輔著。ここ近年、より進化し、強化されていく資本主義に対して民主主義は変化が起こらず、むしろインターネットとSNSが席巻する21世紀には弱体化している。ではどうするか・・・、というラディカルな思考をたどった内容。本書の提案が現実に起きるとはまだ考えられないが、こういう提案が出されなくてはいけない、とも思う。確かに、現行の選挙が国民の総意を得るシステムとして有効かと言われて心から同意できる人はそれほど多くないだろう。

 

先日、ちょうど衆議院議員選挙があったが、あまりにも旧態依然としている。道路沿いに設置された選挙ポスター掲示板、名前ばかり連呼する騒がしい街宣車、手書きの投票紙、投入されるあまりにも多くの人件費、そして上がらない投票率。選挙や政治のあり方は政治家が決めるので変化が生じにくい(誰だって、自分を苦境に落とし込むような変化は積極的には選ばないだろう)。

 

今の仕組みには根拠があり、理由がある。だから、一定の正しさは持っている。しかし、そればかりに固執して時代の変化についていけなければ、その制度が目指していた地点に到達することはできない。変わるものだけが生き残ることができる。

 

少し話は変わるが、ついでに。組織で働いていると「ポストが人を作る(育てる)」という事例をよく見聞きする。この成長論は、「権力が人を変える(狂わせる)」ことの裏返しの表現でもある。私は基本的には「人間はそう簡単には変わらない」と考えているが、同時に「環境は人を変えてしまう」ことも知っている。特権を付与されることに慣れてしまうと、簡単に人はおかしくなってしまう(勘違いしてしまう)ものなのだ。そして権力は腐敗する。変化を組み込まない構造は長期的に観れば脆弱である。