筒井 康隆著。読み始めたころは、この本の世界観にすぐに入れず、ページが進まなかったが、読んでいるうちに面白くなり、最後は物語が終わるのが惜しくなってしまう。SFという範疇におさまらず、冒険の本であり、かつ人生を描いた本であり、とても楽しい読書体験であった。
特に、ラゴスがポロに到着して、読書三昧の日々を過ごす場面が好きだ。歴史を、知識を読みほどいていくラゴスに読者は同化し、至福の時間を感じることになる。
人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。