雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

貧乏はお金持ち


 橘玲著。サラリーマンでいるよりも、個人で会社を設立した方が、税金や社会保険料が抑えられるという内容。それはそうなのかもしれないが、個人事業主として独立する力がない、または仕事を失うことが怖いから企業に雇われているわけで、少なくとも会社に隷属的な日本のサラリーマンには響かないと感じた。


 もっとも、著者のいうように、サラリーマンはいずれ絶滅する種族なのかもしれないし、この本に書かれていることを知って、(少なくとも気持ちの面で)準備しておくことは大事なことだろう。


 本書は、一般論としての経済・会計の本として読むと、普通に面白い。中小企業を弱者と設定したがゆえに、税制上様々な特例措置が設けられていて、サラリーマンと比べるとほとんど税金を払わなくてよい仕組みが出来ている。そんな趣旨を、様々な事例を引きながら説明してくれる。

 
 ダイエー中内功ナビスコのフレデリック・ロス・ジョンソン、エンロンのジェフリー・スキリング、“ジャンク債の王”マイケル・ミルケンなど、「偉人伝」が多く、興味深い話が多かった。会社や国家に過大な期待を抱かないこと、あくまで道具として使い倒すこと、それが本書のもうひとつの趣旨だ。