- 作者: 馳星周
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/04
- メディア: 文庫
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馳星周著。新宿歌舞伎町を舞台に、上海、北京、台湾の各マフィアが繰り広げる抗争を描く、徹底的に冷徹なハードボイルド小説。騙し、騙される展開にのめり込み、一気に読み耽ってしまった。物語が進むにつれて、主人公である劉健一の人物像が明確になっていき、作品の最後に「やはりこいつは骨の髄までこういう男なのだ」と思い知らされるわけだ。いや、素晴らしい。
主人公は、日本人と台湾人のハーフ(半々)である。それ故に、彼はどこにも所属することができず、異端者として生きるよりなかった。闇夜の蝙蝠のように、アンテナを研ぎ澄まして闇夜を飛ぶより他に仕方がなかったのだ。彼にとって、他人とは利用するかされるか、もしくはカモるかカモられるかの対象であり、それ以外にはありえなかった。そして私は、主人公のそうした生き方に共感したのだ。
身分を変えようなんて、馬鹿な考えもいいところなのだ。基本的なところで人の内側は絶対に変わらない。おれは半々として生まれ、半々として死んでいく。それだけだ。