- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1993/08
- メディア: 単行本
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塩野七生著。このサイトを参考に、第1巻を読まずに本書より読んでみたところ、確かに何の支障もなく、かつ非常に面白かった*1。ハンニバルの圧倒的強さと奇抜(かつ理に敵った)戦略は惚れ惚れするほどであり、一時はローマが滅亡するかと思うほど。何よりすごいと思ったのは、敵陣まっただ中である南イタリアで、カルタゴからの支援もろくに受けず、まさに孤立無援で闘い続けたそのタフさ。
しかし一方でこの本で描かれているのは、猛将ハンニバルにも耐えきったローマの底力でもある。同盟諸国とのネットワークや、揺るぎない国家システム、敗者にも寛容な政治思想、そして有能な人材が次々に出てくるこのローマという強さがしっかりと説明されていた。
天才とは、その人だけに見える新事実を、見ることのできる人ではない。誰もが見ていながらも重要性に気づかなかった旧事実に、気づく人のことである。
さて、第1巻に戻ってみるべきか、それともカエサル上下に進むべきか・・・。
*1:しかし断定と推定の多い歴史物語でもある。時折、「見たんかい!」とか突っ込みつつ読み進めた。