苦情と向き合うことによって、組織は問題点を顕在化して改善することが出来る。それはその通りなのだけれど、その話には大切な前提があって、それは「苦情を言う人は困っている人だ」ということ。苦情の理由が「とりあえずイライラしているから」「誰かを叩きたいから」等である場合、その苦情は決して事態の改善には繋がらない。単に苦情の宛先を保身に向かわせ、組織防御力を高め、結果的にサービスの低下と価格の向上をもたらす。読者、ユーザー、顧客、市民そして保護者と、誰にとっても全て同じことだが、上記のようなクレーマーは結局皆の敵にしかならない。
最近に限った話ではないが、マスメディアがまるでクレーマーのように、叩くことそれ自体を目的にしているときがある*1それが彼らの仕事であれば仕方ないのかもしれないが、しかし、それはおそらく「誰かが困っている」状況の改善には繋がらず、残念ながらむしろ本質的な問題点を隠す結果にすらなるだろう。まあ、今頃こんな夢想的なことを言っても意味がないのかもしれないが、報道機関に勤める友人達と話をしていると、純粋に「困っている人の声を伝えたい」という想いを抱いて働いている人がいるという事実も一方ではあるわけで。