雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

NHKスペシャル「うつ病治療 常識が変わる」

 鬱病になったら、精神科に行ってお薬を処方してもらう。それが通常の治療だと思っていたが、そこには落とし穴があるようだ。最大の問題点は、その診断の難しさ。鬱病の症状は、当たり前のことだが外からは見ることが出来ないし、少し話をしただけでは微妙な判断も出来ない。にも関わらず、一部の医者は初診で薬を何種類も処方して、効かないと判断したら種類と量を増やす「治療」を行う。その結果として副作用*1を生んだり、治療を長期化することになったり、しまいには患者に不信感を与えてしまうことになる。


 素人考えだが、他人の頭の中などそう簡単に分かるはずがないと思う。そして、脳に作用する薬には、期待もするけれど不安や恐怖を感じるところも大きい。もし私が抗鬱薬を求めて精神科に出向いた患者であったら、すぐに薬を出してくれる医師はとても有難い味方に感じるし、まるで自分を助けてくれる魔法使いのように見えるのだろうが。ちなみに、番組で紹介されていた、医師の処置が適切かどうかを判断する目安で一番分かり易かったのは、「最初から複数の種類の薬を処方する医師には要注意」であった。


 番組後半のテーマは鬱病に対する心理療法。患者が自分の本当の感情を認知できないことに病気の核があることは多く、心理士が傾聴と質問を続けることでそうした感情に気付けるように手助けすること(認知行動療法)が抗鬱・抗不安治療に有効だそうで、イギリス政府は抗鬱薬抗不安薬のみに頼る治療からの切り替えを推進しているようだ。日本では、精神科医は忙しくて患者ひとりにかける時間が確保出来ないし、臨床心理士は民間の資格なので健康保険の対象外となってしまうので、認知行動療法はあまり広まっていないとのこと。


 私は心の弱い人間なので、心の病気に対するサポート体制が充実していると心強い。ゆうメンタルクリニックのような精神科が近所にあればいいのにな、などと思う。

*1:例えば、抗鬱薬ドーパミンを抑制する結果を生むので鬱病を悪化させることもあり得る。