NHKスペシャルにしては珍しいテーマを取り上げたようで、「女と男」をテーマにしたシリーズの第1回。今回のテーマは「恋愛」。「動物としての人間」「狩猟民族としての歴史的経緯」を過度に協調しすぎているような感じは受けたが、面白かった。以下は番組のまとめ。
恋をしている状態のとき、人間の脳にはどのような事態が起きているのか。まず、共通点としては、
- 恋愛相手といると大量のドーパミンが放出される。このことにより、喜びや快感、気力が溢れてきて、疲れを知らなくなる状態になる。すると脳は、その快感を記憶して、またその状態を欲するので、相手に会いたくなる。いわゆる、パブロフの犬状態。
- 物事を判断する機能が低下する。従って、相手を批判的に見られなくなり、相手を受け入れやすくなる。いわゆる、恋は盲目状態。
一方、男と女の違いとしては、恋愛中に使われる脳の機能が異なる。男は視覚に集中して、相手が丈夫な赤ちゃんを産める身体かを判断しようとする。女は、記憶を働かせて、相手が良い父親になれるのかの判断を行おうとする。つまり、男女にとっての恋愛は、自らが親になり、子どもを作り育てるための機能だということ。
ところで、上にみたような重要な役割があるにも関わらず、何故恋に終わりがあるのか。ある研究は、恋は18ヶ月から3年しかもたない傾向にあるという結論を出している*1その理由は、子供がある程度大きくなって、なんとか生きていけるようになると、必ずしも両親がつきっきりで見る必要がなくなるから(少なくとも大昔はそうだった)だそうだ。やはり、恋とは、子育てのための(期間限定の)機能だということか*2。
恋の終わりは、一般にコミュニケーションの問題から発展する。よくある喧嘩のパターンは、男が相手を批判して、女が防御に走り、男が見下すというもの。会話の中で、男が「つい」問題解決に先走り、分析してしまい、「そんなこと」は望んでいなかった女は会話が打ち切られたと感じ、自分が馬鹿にされているかのように感じるので、防御に走る・・・思い当たる節が無い人は少ないだろう。
なぜこうしたことが起こり易いのか。それは、歴史的に狩猟を担っていた男は、(すぐに戦闘態勢に入ることを可能にするため)心拍数が上がりやすく、対人関係においても攻撃態勢になりやすい。興奮して自分が理性的に会話が出来なくなることを怖れ、自ら会話を打ち切る傾向にある。
類似の話として、一般に男は相手の感情を読み取ることが苦手である。これもまた、喧嘩の原因のひとつである。女が、何気ない日常の話をしたいと考えていても、男は、特別な問題が無いときに会話を欲しない。男同士のおしゃべりと、女同士のおしゃべりには、大きな違いがある。
この違いの理由は、女は部族で暮らしていくために、仲間と会話を続け、自分の想いを相手に伝え、相手の気持ちを理解することを重要視する。しかし男は、刻々と変化する状況(狩りの現場など)に対処するため、問題解決型の会話を得意とする。これが、男と女のすれ違い、コミュニケーション不足を生み出す。
さて、男と女には大きな違いがあり、コミュニケーションが疎外されることは分かったが、ではどうすれば良いのか。対処法として番組であげていたのは、会話に質問を取り入れることが大切なのだそうだ。自分が主張するよりも相手に質問して、コミュニケーションを続けようとすること。特に男は分析し、問題解決し、批判し、といういつもの癖を抑えて、相手の感情を共有しようと努めることが大切なのだそうだ。