雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

マンハッタン

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 何度見ても良い映画だなと思う。この世界に存在する、全ての駄目な男に捧げられた作品。モノクロで描かれたニューヨークの街並みが美しい。作品途中、明け方に現われたのはブルックリン・ブリッジだろうか。


 駄目な男の思考回路が浮き彫りにされていて、見ていてとても恥ずかしい思いがする。自分が傷つきたくないから相手を傷つける/捨てられるのが怖いから自分から別れを切り出す/問題に真正面からぶつかることが出来ないから、皮肉を言って誤魔化す/ショックな出来事と直面することを恐れるから、先回りして最悪のパターンを想定し、覚悟を決めようとする、が、結局は覚悟などできずに疑心暗鬼、人間不信に陥り、自分も相手も、全ての人を不幸にする。私も含め、駄目な男の根本的な問題は結局「勇気が無い」ということなのだと思う。


 そうした症状は、おそらく年を取るごとに悪化する。年を取るということは、たくさんの経験を重ねることだから、少しは賢くなるのかもしれない。しかし、その経験の中にはたくさんの辛い過去も含まれるわけで。本人が乗り越える努力をしない限り、無数の小さいトラウマは死ぬまで増加し続ける。やがて、希望を抱くということは失望の可能性を抱えることだ、と解釈するようになるだろう。つまり、年を取るということは勇気を失うということでもある。


 映画最後のトレイシー(Mariel Hemingway)の台詞を忘れないようにしたい。

You have to have a little faith in people.