- 作者: 夏原武
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2004/01
- メディア: 文庫
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宝島社はこういう本を作るのが上手いなあと思う。深みのある分析や一貫性はないのだけれど、読みものとして結構楽しめる作品になっている。
コンビ技を用いる(暴れ役&なだめ役とか)、相手に悟られないようにおだてる、失言を引き出す、揚げ足をとる、弱みを握る、切り札は最後に提示するといった、えげつないけれど効果的な(ヤクザ映画に良く出てくるような)交渉手段が色々出てくる。まあ、その基本は「徹底的に弱みにつけ込む」ということか。
他にも、金を渡すときは「対価」として渡す、裏切られる方にこそ落ち度がある、場を収めるための責任などとらなくて良い、謝罪はするが従わない、などなど一般的な箴言集もかなりある。自分が身につけようとして読むのも良し、ヤクザ一般の交渉パターンを知ることで自己防衛に繋げるのも良し、だ。そういう意味で、一度は読んでおいても損はないだろう。昔気質の暴力団は減少傾向にあるのかもしれないが、風俗・遊戯・不動産・金融など活躍の舞台はたくさんあるわけで、いわゆる「ヤクザ」が消えることは無いのだから。