- 作者: 吉本ばなな
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1992/03
- メディア: 文庫
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すごい。日本語というのはこれほど美しいのか、と驚いた。つぐみという、他人を強く惹きつける力がある女性と、その周囲にいる優しく、暖かい人々との関係がとても心地よくて、読み終わるのが切なくなってしまう。もちろん、綺麗事ばかり表面的になぞる物語ではなくて、切れ味の鋭いナイフで心や運命の重さをえぐるシーンもちゃんとある。物語の最後に書かれた手紙も良かった。べたべたっとした感情的表現を綺麗に抑制していて、それでもやはり、これを書いたつぐみの気持ちがほのかにわかるような気がして。読んでよかった。私も、もっと言葉とのつきあい方を学ぶべきなんだろうな。