雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

「対話」のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの


 標語看板、車内放送、定型的日本型挨拶と、空疎な言葉ばかり漂う日本社会に異を唱える著者は正しい。「空気」や「世間」が重視されるあまり、個人としての生き方が貧弱なものになり、そのくせ「思いやり」や「優しさ」という保身(またはエゴ)の奇形は巧妙に生き続けている。そんな状況では対話なんて出来ないだろう、そして対話がなければ他者の発見もありえず、従って私が私として考えたり意見を述べたりして理解されることもないだろう、と結ぶ。実に納得した。というか、中島義道という人が気に入った。違法駐輪の自転車をバッタバッタとなぎ倒す著者の姿が目に浮かぶ。他にも著作をあたってみよう。