雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

飛騨高山

 一泊二日で岐阜県、飛騨高山へ行ってきた。目的は、言うなれば歴史的な美しい街並みを散策することだろうか。


 高山は電車では少々行きにくいところだ。新幹線で名古屋まで行き、そこから観光用列車である特急「ワイドビューひだ」へ乗れば2時間半ほどで到着する。名前の通り、この特急列車は景色が楽しめるように窓を大きくとっているので、行程はそれほど退屈しないのだが、それにしても飛騨は遠いなあ。


 高山駅に着き、観光の中心部である三町伝統的建造物群保存地区へ向かう。古い家並みが保存されており、実に美しい通りであった。もっとも、ここはかなり観光地化しているので、北へ進んで下二之町大新町伝統的建造物群保存地区へ行ったときの方が驚きは大きかったが。色彩、素材、高さなどに統一感が見られ、それでいて各々の建物に特色があるときの街並みは、これほどに美しいものなのか、と感嘆してしまう。そういう意味で、高山は歩いて楽しい街だ。神社や景勝地などのような、一点集中型観光地ではなくて、こうした地域という一定の広さを持つ観光名所を育むには、非常にたくさんの手間とお金と時間が必要だろう。だからこそ、こうした街並みに出会うのは貴重な経験なのだと思う。有難いことだ。




 ひたすら街を歩いて、飛騨牛などの美味しい食事を済ませてから宿へ向かう。今夜は、城山公園近くにある「山久」さんへ泊まることに。アンティークな雑貨が並んでいる、静かで落ち着ける雰囲気の宿。露天風呂までついていて、とても満足。



 高山の朝は、市が開かれることで有名である。ということで、高山陣屋へ向かい、市を見物しにいく。野菜や果物が中心で、観光客としては何を買って良いものやら、と眺めていたが、外国から来た観光客などはリンゴを大量に買っていたなあ。


 その後、高山駅からバスに乗って「飛騨の里(飛騨民俗村)」へ向かう。ここは、飛騨の各地にあった古い民家や生活用具を移設して、里をまるごと博物館にしてしまったという、ものすごいスケールの話である。実際、行ってみたら「集落」があるのだ。どの家も歴史があり、雪国飛騨の土地柄を反映した合掌造りのものがほとんどである。昔(といっても数十年前ほどのことだが)の生活の様子がそのまま残されており、各々の家に上がって自由に見学できるようになっている。この集落には民家が25軒ほどあるのだが、どれもそれぞれに魅力的な建物で、見ていて飽きることが無い。建物に入り、2階にあがり、蚕部屋の様子を眺めながら、誰もいない、音も無い世界で佇んでいるとまるでタイムスリップしたような奇妙な気分になってしまった。この飛騨の里を企画し、作り上げた長倉三朗氏に最大級の敬意を表したい。いやー、すごいところだった。




 散々歩いて、そろそろ帰ろうかと思っていると、何だか頭が痛くなってきたし、寒気もする。これは遊び疲れで風邪を引いたようだ、と街に戻り、薬局に入る。富山が近いからか、こんな小さいパッケージの「置き薬」がたくさん置いてあった。風邪で思考が鈍っていたからか、なんだか楽しくて無駄に色々と買ってしまう。駅前の土産屋で地酒とリンゴジュースと橡の実煎餅を購入して、電車に乗り、早速薬を飲んで帰路についた。





 高山は、街並みは綺麗だし、少し歩けば自然景観も良い。飛騨の里は空前絶後の施設だし、食べ物も美味しい。また来たいところだ。まあ、今度は車かな。白川郷にも行ってみたいし。