- 作者: 中山元
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2004/02
- メディア: 新書
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非常に簡潔に、分かりやすく書いている。「分かった気」になってしまいそうで怖いくらいだ。面白かった視点を2つ。
- 我々の社会は、あらゆる場面で「監獄化」されている。そこでは、社会秩序(権力)にとって望ましい人間が調教されている。そうして出来上がった人間が、「理性的で自由な主体」と呼ばれるものだ。我々の理性や自由も、その根底は権力による枠組みで縛られている。
- 理性は、その対極にある狂気によって理解される。
後者について補足する。デカルト以降、理性(≒論理)を中心に進む社会は、狂者を隔離して外部に放り出した。しかし一方で、理性を理解する(特に心理学)基礎となるのは、狂者の研究にあった。つまり、理性は理性自身を説明することができないのであり、理性の対極にある狂気を説明することを通じてのみ理性の輪郭を描くことができたのだ。・・・以前、これと少し似ていることを私も書いていたような*1。
理性社会は狂気を隔離したことによって(同一性を高めることにより秩序や権力は強化されたが)その哲学的な存在基盤を危うくしたのかもしれない、ということをフーコーは語っているとのことだ。なるほど。