人に何かを説明しているときに、「先ほど申し上げたましたように、・・・」という台詞をちょくちょく使っていることに気がついて少し考えてみた。
この台詞は、発する側としては全く悪意は無く、『ここが大事な点なので、念のためもう一度繰り返しても良いですか?』という確認のための枕詞程度のものであったり、場合によっては『何度も同じ事を繰り返してすみません。しつこいですよね。』という謝罪の意を込めていたりするものだ。
しかし、この台詞を聞かされる側は、おそらくそのように解釈はしないだろう。『さっき言ったでしょ?聞いてなかったの?』とか、『何度も言わせないで欲しいんだけど』と言われているように感じ、小馬鹿にされた気分になるだろう。例えそこまで穿った受け取り方をしなくても、肯定的な解釈は期待できなそうだ。
だとすれば、この問題を解決するには、このような台詞を発しないこと、となる。つまり、説明する側は「同じ説明を何度も繰り返すことに対して、謝罪も弁明も確認も悪びれることも一切せずに、ひたすら同じ事を何度でも繰り返し(もちろん、そうした繰り返しが会話の流れの中で必要な場合に限る)、かつ相手にしつこいと思われないように少しずつ変化を加えたりする」わけだ。ふと、受験の現代文における鉄則、「筆者の主張は、言葉を変えて何度でも繰り返される」を思い出した。