- 作者: ポールホフマン,Paul Hoffman,平石律子
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2000/03
- メディア: 単行本
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この本を読むと、ポール・エルデシュという変わった数学者に出会うことが出来るだけでなく、読書中におそらく彼のことが好きになり、そして読書後には彼が死んだことを深く悲しむことになるのだろう。本書も後半からは彼の思い出を語る会のようになっている。素敵な本だ。
「自分の世界を持つ」ということのひとつの究極の実践がエルデシュであった。数学や作詞でもよし、唄や演奏でもよし、そしてダンスやマラソンでも良いのだが、そうした外部の何者にも左右されない、自分だけの喜びをもつことは人間の知恵だ。「一番大事なもの」だけに焦点を合わせて生きることは、私には人間的とは思わないしそんな生き方が出来るとも思わないのだが、だからこそエルデシュのような人に憧れを感じてしまったりもするのだろう。
この本にはたくさんの天才が登場する。私には「全ての天才は同時に変人であって欲しい」という願望があるので、エルデシュという人はとても気に入った。彼の朝のあいさつが「おはよう」ではなく、「Nを整数としたとき、kは・・・」であったり「f(x)を自然数として・・・」であったという伝説は、彼の奇人ぶりだけでなく、彼が天才であったことをも明確に表している。彼の名台詞「私(/君)の頭は営業中だ(/かね?)」を一度聞いてみたかったな。
(追記)
前にきちんと理解したはずなのに、またもこの本に出てくる「モンティ・ホール問題」を間違ってしまった。悔しい。