雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

記憶というものは不思議なもので。

 突然、何の脈絡も無く、とても嫌な思い出や恥ずかしい記憶が蘇ることがある。そんなときは、ひとり顔を真っ赤にしたり、思わずうずくまったりしそうになる。一方、日々の生活の中で体験する何気ない事柄から刺激を受けて、どうでも良い、何の変哲も無い平凡な記憶が鮮明に蘇ることもある。「まだこんなこと覚えていたのかよ!?」と自問して苦笑いしてしまう。


 常日頃は「記憶力」なんていう言葉を使うくらいだから、私が記憶を支配/利用しているように思っているのだろうけれど(記憶は外付けハードディスクのようなイメージ)、おそらく実際には膨大な記憶という土壌が私の意識を支配しているのではないだろうか。もしもそうだとすると、長く生きれば生きるほど記憶という大地は巨大になり続けるわけで、私の意識が遊ばせてもらえる領域はますます小さくなってしまうのかもしれない。人間には記憶力も忘却力も無く、思い出の蓄積は自動的に果てしなく行われていき、意識は記憶に規定されることは避けられず、そしてそれにも関わらず、いつかは記憶自体が崩壊していく。もしもこれが年をとることの必然だとすると、ちょっと憂鬱になってしまうな。