雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

街の灯、トム・ヤム・クン

街の灯 コレクターズ・エディション [DVD]

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 いや、参った。すごい作品だわ。富豪のおっさんも面白いし、ボクシングシーンは素晴らしいアイデアが詰まっている。
 ラスト・シーンは観客によって感想は異なるのかな。でも、主人公もヒロインも、2人とも「人間らしさ」が出てて、きっとそこが素晴らしいんだと思うな。チャップリンは彼女の目が見えるようになっているとは知らないし、ヒロインは彼が恩人ということを知らない。だから彼はみすぼらしい格好の自分を見せてしまうし、彼女は彼に硬貨を恵もうとしてしまう。この時のチャップリンの表情の寂しそうなことといったら・・・。でも、チャップリンは素直に嬉しかったんだよね、彼女の目が治って元気に働いている姿を見てさ。そして何も知らない彼女が硬貨を渡そうと表に出てこようとしたときに、彼は逃げ出そうとする。でも、彼女は硬貨と同時に、一輪の花も持っていた。この花(=彼女の象徴)は、チャップリンには断れなかった。花の後で、「浮浪者」に硬貨を渡して彼の手を触ったとき、恩人の正体に気付く彼女の表情がこの映画の最も難しいところだ。彼女は驚きと困惑との中で、彼に正体を確認する。その表情に「念願の紳士に出会えた喜び」は見出せない。それでも、「浮浪者」が一言 " You can see now ? " と聞いたとき、ようやく彼女の心に深い感謝の気持ちがこみ上げてくる。そして、あとはもう言葉は要らないとばかりに、チャップリンの笑顔で終わるラスト・シーン。私はこの作品が、とても好きだ。


 「マッハ!!!!!!!!」に続いて、トニー・ジャー2作品目。現在世界最高のアクション俳優か。カポエラ使いとの戦闘シーンおよび建物の階段を上りながらのワンカット格闘シーンは、素晴らしいと言う他無い。49人連続関節極めとか、常人には発想もしない展開だ。
 問題は、トニー・ジャーのキャラクターがまだ出来上がっていないところか。声はブルース・リー系ではないし、演技とコミカルさではジャッキー・チェンに及ばない。だが、アクションは本当にすごいのだ。惜しい。でもすごい。次回作に期待。