雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

新聞の特殊指定見直し問題について

 この事案は簡単にまとめると、新聞という商品に関する取引になされてきた価格規制に対しての議論であって、ひとつの立場は独占禁止法の趣旨に基づいて撤廃するべきであるとする公正取引委員会、もうひとつの立場はそれに反対する新聞業界であった。そう、単に市場における商取引に関する規制の問題なのだ。それが一体どうしたことだ、この盛り上がりようは。

 これが今回の公正取引委員会の結論だそうで。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/06.june/06060205.pdf
 落としどころがひどい。「議論が噛み合っておらず」、「各政党においても新聞特殊指定を存続させるべきとの議論がなされている」から規制の見直しは結論を出さないとのこと。なんだか投げやりな書き方だなあ。「もうやってられっかよ」という気持ちがにじみ出てきているような。もしもこの事態が「古い体質の既得権益団体と、それにおもねる族議員の圧力に屈して違法な過剰規制を守った」という風にとらえられたならば、これから各種メディアに叩かれてしまわないのかな。
 進んでも地獄退いても地獄の公取委。かわいそうに。


 私は、その必要性を感じないので新聞の定期購読を契約していないのだけれど、だからといって多分知る権利は失っていないと思うので(ネットも雑誌もラジオもテレビも携帯もあるじゃん)、率直に言って今回の新聞業界側の意見内容は理解できない理屈ばかりだ。あと、価格競争を禁じているのに、「2ヶ月無料」とかの特典をつけて営業しにくる新聞販売店を野放しにするのもどうかと思うわけで。もしも本当に新聞というものが民主主義を維持するのに必要不可欠なものだと考えているならば、今回の問題によってその権威や信頼性を低下させた業界各社は自らの政治責任をどう考えているのだろうか。まあ、そんなもの考えていないよね。株式会社だもの。会社(株主)の利益を守るのが仕事なのだから。経営という観点から言えば、そう間違っている言動でもないのか。そうすると、悩んでいるのは自らの主義や価値観と会社のそれとの間に挟まれている一部の良心的社員なのかな。
 主義や倫理を仕事にからめるべきではないなあ、と思う今日このごろ。純粋に利益を追求することこそが個人の幸せにも公共の福祉にも最も役立つのではないだろうか。


以下、参考リンク。
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2025263/detail
これは酷い 毎日新聞の竹島公取委員長インタビュー - ガ島通信