雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

ウェブ進化論

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

 色々なサイトでの評判を眺めていて、「これを読まなくては時代に取り残される」という気がしてきたので読んでみたが、読書後は「ああ、世界ではこんなことが起こっているんだ。すっかり時代に取り残されてしまったなあ」とむしろ余計に焦ってしまう結果となってしまった。グーグルという会社のすごさを知れば知るほど、こちらの無力さや古さを知ることになるわけで。


 私のようなIT関連の知識に乏しい者にとっては、本書は「今、どんなことが起きているのか」「これからどんなことが起ころうとしているのか」を分かりやすく説明してくれる良い教科書であることは間違いない。著者の生き方、考え方自体にも共感できるし、売れてしかるべき本だと思う。


 以下、自分用のメモ。


 人やモノが存在するのは、当然ネットの「こちら側」でしかない。けれども、情報はネットの「あちら側」に存在することができる。むしろ、情報は基本的に「あちら側」にあれば良いのであり、必要に応じて取り出せればいい。必要なのは、膨大なデータベースと多種多様なニーズに即座に対応できる高性能なインデックスなのか。そして、そうした世界が築かれたときには、「知」に関する考え方には劇的な変化が起きているのかもしれない。学習とは何か、創造とは何か、といった様々な根源的問いがなされるのだろうか。それとも、「知」の価値が相対的に低下して、身体的な事項(感じること、体験すること、健康であること)に関する価値が向上するのだろうか。


 膨大な情報が、技術の進化によって自然と淘汰されるのであれば、個人はもっと無邪気に情報を発信しても良いのではないか。筆者のように楽天的に考え、好きなことを自由に恥ずかしがらずに書いたらいいのだろう。ゴミ情報だと判断されれば、それは他の人の情報収集の邪魔にはならないし、有用な情報だと感じる一部の人にはきっと自分の情報が伝わり、喜んでもらえるなり新しい情報が生み出されるなりするのだから。


 日本だけに視点を固定して、「時代の閉塞感」などと言っている状況ではないのかもしれない。世界をより良くしたい、と各自が(自分にとっての)理想的な未来を追求しているのであれば、例えそれが成功しないとしても、きっとその人の人生は楽しいのだ。


参考サイト
[R30]: 書評「ウェブ進化論―本当の大変化はこれから始まる」・上
[R30]: 書評「ウェブ進化論―本当の大変化はこれから始まる」・下
http://column.chbox.jp/home/kiri/archives/blog/main/2006/03/30_075245.html