雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

バンコク1日目

突発的に、3泊4日でタイに行ってきた。最近仕事が忙しかったため、どこかに行きたいという思い(逃避願望?)が膨れ上がり、ついには休みをとって海外に飛ぶことになった。で、何故タイかと言うと「近い、早い、安い」という理由もあるが、もともと前からタイやベトナムカンボジア等に行ってみたかったのだ。学生時代、友人から「バックパッカー東南アジア一人旅」系の旅行話を聞く機会が多く、そんなに面白いのだろうか、いつか行ってみたいな、と思い続けていたからだ。それと、西原理恵子の旅行記でタイが題材になることが多かったから、というこも影響しているかもしれない。


ただ、海外旅行なんてものは突発的にするべきでは無いわけで。旅行は早くから計画を立てるほど経済的かつ安全かつ楽しめるものだと思うのだが、今回の旅行は本当に発作的なもので、タイに行こうと決めたのは出発の10日前ほど。それからガイドブックを買って、航空券をなんとか押さえて(ツアーは全て締め切られていた。当たり前か)、現時点での治安情報以外、ほとんどタイについて何の知識もないまま出かけてしまった。ガイドブックをきちんと読んだのは飛行機の中だ。


今回はシンガポール航空を初利用。フライトアテンダントの制服に驚く。こんなところで色気を振りまかれても、と勘違いするくらい見惚れてしまった。KLMのあの圧倒されるような迫力とは違うなあ。バンコクまで直行便だと5時間くらい。ガイドブックを読みながら旅行計画を立てる時間は十分あるけれど、ヨーロッパと比べると早いものだ。


ドンムアン空港に着く。入国審査は長蛇の列、という毎度うんざりな状況に更に追い討ち。私の後ろに並んでいた日本人女性二人組が「私はいかに男にもてるか」の張り合いを延々としていた。それぞれ本命、次点、押さえを持っているらしいが、「でもさぁ、私にとっての理想は経済力と知性と包容力があって(以下略)みたいな人と出会えるのを待っているんだけどねー」なんて会話を強制的に聞かせられる身にもなってほしい。イライラ。


「もっと英会話能力をあげなきゃな」を思いつつ、なんとか入国審査を通って日本円→バーツの両替まで済ませたのはいいが、バンコク市街地へ行く鉄道の駅が分からない。ガイドブックもあまり参考にならず、案内所に聞いてうろうろしたが、よく分からなかった。ということでいきなり予定変更。空港バスで市街地を目指すことに。しかしどのバスがどこに行くのかが旅行者には分かりにくい。何度も確認してようやく適切な路線バスに乗り、30分ほど乗って、「多分ここらあたりかな?」というところで降りる。暑い。ほんと暑い。早くこの冬の装備を脱ごうと、うろうろしながらホテルへ向かう。細かい路地を行ったりきたりしながら、分かりにくいガイドブックの地図に腹を立てる。


ホテルは巨大観光ホテルの「アンバサダーホテル(スクンヴィット通り)」。朝食込みで一泊約5000円はちょっと高い気もするが、立地も便利だし、清潔なところで安心は出来る。シャワーと着替えを済ませて早速街に出かけることに。日本から近い国だと、移動や時差による疲れがほとんど無いのがとても有難い。


午後5時近くにホテルを出る。初日は何もかもが新鮮で、街をただ歩いて回るだけで楽しい。やたらたくさんある屋台にマッサージ店、常に渋滞している道路、セブンイレブンマクドナルドを見るだけで満足してしまったり、電車に乗るだけで楽しめたりして。もっとも、全てを新鮮に感じるということは、自分がこの街について何も知らない状態であることを意味しているわけで、非力で孤独な自分を実感することも旅の面白さなのだろうと思う。何の権限も責任も無く、知人もなければ思い出も無い。旅先では、自分の存在価値が限りなくゼロに近いのだ。


ホテル近隣を散歩して地理を確認した後、近所のスーパーマーケットに入る。流石に安い。ミネラルウォーターのペットボトル(500ml)が一本約15円とか。野菜、果物などの現地特有の品物を見るのも面白いし、生活用品などを見るのも不思議な楽しさがある。日本のメーカーの製品の価格を日本国内と比べてみたり。


水を飲みながら、夜のバンコクを歩く。治安については、私が感じた限りあまり悪くないように思う。スリや置き引きは別にして、身の危険を感じるようなことは一度も無かった。もちろん人通りの少ない細い路地を夜ふらつくのは避けたほうがいいのかもしれないが、大通りについては夜遅くても心配要らないだろう。なぜなら、バンコクでは夜になると屋台の数がぐっと増えるので、人も多いし明るさも問題ないからだ。とにかく街全体に活気があふれている。ここに来た旅人は、自らの体内に良く分からないエネルギーが沸き起こるのを感じるはずだ。


夕飯はガイドブックお勧めのレストラン。だが、地図がいい加減であったため、かなり迷う。パイナップル入りレッドカレー、豚肉と野菜の炒め物、ライスにビール。全部で約1000円(高い?)。カレーが辛い。辛いが、美味しい。でも、旅先でごはんを独りで食べるのは、とても寂しいものだなあ。


レストランを出て、バンコクの繁華街パッポン通りへ向かう。なるほど、出店と飲み屋とマッサージ店でひしめき合っている。観光客も多い。それにしても思うのは、出店で売っているゴミのような商品は一体誰が買うのだろう?「L」と「V」を合体させているにもかかわらず一目で偽物と分かるバッグとか、適当なデザインのTシャツとか。どこの店も同じようなガラクタ商品を扱っており、おそらく店によって値段が変わるのだろうけれど、それを確かめるにはどの店とも値段交渉をしなくてはならないわけで。


バンコクで初めて入ったマッサージ店は、「有馬温泉」というところ。日本人観光客を対象に作ってあるので、言葉も日本語で通じるし、初めて行く客としては安心して利用できるのでありがたい。足マッサージ1時間で約1000円。安い。ただ、私は足マッサージというものを初めて受けたのだけれど、それほど気持ちよくなかったし、どうも人に足をもませるというのは気分があまり良くない。サービスを受けてこちらはその対価を払っているのだから、気にする必要は無いのだろうけれど、何故か「こんなことしてもらって悪いですなあ」と感じてしまうのだ。足マッサージなので、必然的にマッサージしてくれる人を見下す姿勢になってしまうからそんなことを思ってしまうのだろうか?せめて「治療」と感じられるくらいに、激痛足つぼマッサージレベルのものを受けられれば感じ方も違ったのだろうが、「ああ、気持ち良いなあ」で終わってしまった。うーん。


有馬温泉」を出て、飲み屋に入ることにする。ガイドブックによると、パッポン通りではゴーゴーバーというところが有名で、店の中で水着姿で踊る女性を眺めながらお酒を飲むところらしい。とりあえず何でも体験しよう、ということで行ってみることに。探すまでも無く、ゴーゴーバーは客引きがすごい。腕をつかんで「ノミモノダケ、100バーツ(約300円)デOKネ」と言われ、ボッタクリバーなんじゃないかと身構えてしまったが、まあいいや、なんとかなるさと気楽に考えて客引きに従い店内へ。なるほど、ダンス音楽が大音量で流れる店の中央にはステージがあり、水着姿の若い女の子が10〜15人くらい、ステージに立てられたポールを回りながら踊っている。その踊り子達を見上げる格好で客が席に座って飲み物を飲んでいる。よく見ると、客の中には女性グループや、カップルもいた。私は席に案内され、踊り子さん達を見ながらビールを飲んでいたが、ボッタクリバーだったらどうしようと不安で落ち着けなかったので、20分ほどで店を出た。会計を頼んだら、本当に飲み物代だけだったので、ホッとして100バーツ支払った。しかし、客単価がこんなに安いのにどうやってあれだけの店を維持できるのだろう、と不思議に感じたりもした。


電車に乗ってホテルに着いたのは夜0時過ぎ。ホテル付近のインターネットカフェでメールを出して、シャワーを浴びて就寝。