雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

死ぬまでにしたい10のこと

死ぬまでにしたい10のこと [DVD]



原題"My life without me"の方が適切でしょうね。抑制の取れた、淡々と進んでいく展開は私の気に入りました。物語については、おそらく性別や年代層によって評価が相当変わると思われますが、正直なところ私には違和感(批判すべきものでもないが、賛同もできない)がありました。いや、賢そうなこと言ってないで、主人公の行動には不愉快なところがたくさんあったと率直に言うべきか。「もうすぐ死ぬから〜しても良いだろう」ってことは、「常日頃から〜したいけど、まだ死なないだろうから我慢してきた」ってことでしょう。実は単にそういう願望が日頃からあったんですってことだったら、「あっそう」で終わりである。もし主人公の思考がこんなものだとしたら、人生に対する考察が薄っぺら過ぎる。余命三ヶ月だろうがそうじゃなかろうが、明日交通事故にあったら死ぬんだぜ。死の告知によって抑制されていた潜在的な願望が現われたとのみ解釈してしまえば、これはひどく陳腐な作品としか評価できない。
いや、しかし、だ。仮にそうだとしても、死を覚悟した主人公が「死ぬまでにできることは何か」を考え、充実した日々を過ごそうとする姿を前にしては、やはり何も言えなくなってしまうのだろう。自己満足に向かって懸命な人に対しては、批判する気などおきないのだ。心にひっかかりつづける思いが苦しい、そんな映画だった。嫌悪感はあれど、やはり切ない。





この映画について調べていたら、こんなページを見つけた。
晴海22歳の闘病日記 ~死ぬまで生きた~
嗚呼、胸がつぶれる。呼吸するのも苦しいくらいに嗚咽した。