最高。作り、物語共に素晴らしい映画だった。
緻密に練り上げられた脚本、配役の適切さ(特に片岡礼子)、場面にふさわしいカメラワークの切り替えと、いずれをとっても素晴らしかった。
それにもまして良かったのが本編の物語だ。皆それぞれ悩みがあって、それは本人の人生を難しいものにしてしまうのだけれど、そこから逃げずに自身の人生の一部として引き受けつつ、それでもどうしてよいか分からないから試行錯誤しながら生きていく。時には真剣に、時には軽く笑い飛ばして、時には無理して頑張って。そうした、まっとうな人間の生き方を説教ぶらずに、それでいてまっすぐに訴えかけている映画だった。
皆、それぞれの問題を自分の中に抱えている。それは引き受けていかなきゃいけない。ただ、それはもしかしたら、他人と共有できることかもしれないし、独りだけでもがいていては気付かない光だってあるのかもしれない。