昨晩の話。
何も食べずに残業していたら時計は21時30分を指していた。空腹に負けて職
場を出る。腹減ったなあ。家に帰れば愛するチキンラーメンが待っているけれど
きっとそれまでに倒れてしまう、何か食べなくてはと思ってふらりとマクドナルド
へ寄る。がらんとした客のいない店内へ入る私と視線があった店員は少し早口で
「こちらでお召し上がりですか」と聞いてくる。その問いに肯定の意思を示して、
「てりやきマックバーガーのトリオで飲み物はコーラ」と手早く注文する私に店員
は「申し訳ありませんが、当店は午後10時で閉店となってしまいます。それでも
よろしかったでしょうか」と尋ねた。腕時計を見ると21時54分、だからといって今更
「よろしくありません、不愉快です」とも言えないじゃないか、「それでもよろしかっ
たでしょうか」というのは直訳すると「手短にお召し上がりになってなるべく早くお
帰りくださいませ」なのか、なんてことを思いつつも結局、「あ、えと、はい。頑張っ
て食べます」なんて間の抜けた返事をしてしまう私。給食の人参が食べられない
小学生かよ、などと自分に突っ込みつつお金を払う21時55分。
席に座った私のテーブルのトレイの上には、コーラ(S)と「しばらくお待ちくださ
い」の立て札が。こういう状態では目の前のコーラを飲むほかなく、いつも食べ
物が来る頃には大抵コーラが半分くらいになっていて、ポテトの後半ともなるとい
つも水分不足で苦労するんだよな、店側も少しは考えろよ、と思いつつ店内を見
るとポテトを一人分だけ袋から取り出して揚げ始めているではないか。あ、そう
か、もう閉店間際だから作り置きがなかったのでわざわざ私のために作ってくれ
ているのだ。おお、わしってセレブやん、店も貸切状態だし、店員は全員わしのた
めに働いてくれてるし、ああもうまるでシロガネーゼですよ21時56分。
やっぱりコーラが半分くらいになった頃に、店員が出来たてのてりやきマックバ
ーガーとポテト(S)を持って登場、「お待たせいたしました、ごゆっくりお召し上が
りください」とスマイル0円21時57分30秒!私はマニュアルの普遍的な力と悪意
を感じましたことよ。
まあ、わしはセレブやから22時を過ぎて食べても全く怒られないんだけど、22時
きっかりにレジ係が片付けを始め、他の店員も諸々の作業をし始めると私の背
中に刺さる視線がちょっと痛い気がして、携帯のメールもゆっくりと見られないじ
ゃないですか。んで、店員のプレッシャーのせいか単にポテトが使い古した油ま
みれだったからなのかは分からないが、不愉快な満腹感を覚えてごちそうさまと
席を立つ22時7分。すぐに店員が駆け寄り、「あ、私が片付けますから(早く帰って
ください)」と私のトレイを手にとってまたもやスマイル0円。もちろんわしはセレブ
でシロガネーゼやからほぼ全ての店員に「ありがとうございましたー」の声をかけ
られ、背中を丸めて店を出た途端に店内の客席照明が落とされた22時8分。
震えるぞハート、燃え尽きるほどヒート!
山吹色のマクドナルド(i'm lovin' it)!!