雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

仕事

4月に配置換えとなって以降、ひどい生活が続いている。平日は慣れない仕事に追われ、業務効率が悪いために毎晩帰れず、しかもノルマが多くてやってもやってもキリがない。終わらない仕事は土日に対応するしかなく、完全に仕事に飲まれてしまった。

 

特に平日は家のことも子どものことも何もできず、朝の時間帯だけ家事をして家族と話す。心身のダメージもひどい。ストレスは胃腸と睡眠に出る。常にお腹が痛むのもつらいが、眠れないのはもっとつらい。どう考えても持続可能ではない。

 

私はこんなために働いているのではない、と何度も何度も考える。

イン・ザ・メガチャーチ

 

 

 朝井リョウ著。「推し活」がテーマの本、くらいのイメージで読み始めたが、その情報は間違いだった。この本は、小説(フィクション)ながら、現代の日本を残酷なほど明確に描いている。 神や宗教にすがれない、確固とした価値観も序列も存在しない、どこを向いて歩いていけばよいか分からない現代日本の危うさを表した作品だ。

 

 人という動物は、「ただ生きる」ということが難しい。他の動物からすれば不思議な話かもしれないが、人間はその人生に何かしらの「物語」を必要とする生き物なのだ。自分自身で「物語」を作って育てていける人はまだ良いが、そうでない大半の人は与えられた「物語」の中で生きていく。

 

 藤子不二雄Aの『笑ゥせぇるすまん』は毎回、「この世は老いも若きも男も女も、心の寂しい人ばかり。そんな皆さんのココロのスキマをお埋め致します。」と言う台詞から始まる。主人公の喪黒 福造は顧客から一銭も取らないセールスマンだったが、現代ビジネスのマーケティングは心の隙間をえぐってなんぼなのだろう。

 

 主要登場人物である久保田慶彦が同年代なため、共感しながら読み進めていったが、あまりにもひどい展開ではないか。途中から、なんとなく破滅的な展開を予想していたが、それにしても救われない物語だ。とは言え、本作が傑作であることは疑いようもない。読後に感じた恐怖と不快さは、それだけ本書が持つ力の表れでもある。

 

あきらめない

 

 

村木厚子著。3月に日経新聞で連載していた「私の履歴書」が大変面白かったので手に取った本(「私の履歴書」も早く書籍化してほしい)。サブタイトルには「働く女性に贈る」とあるが、本書は男性が読んでも共感できるところや学べるところが多々あり、すべての働く人に向けられた本だと思う。

 

「すごい人」は他の人から「すごい人」という目で見られるが、それは単なるレッテルであり、実は皆それぞれ「普通の人」で、目の前の課題に挑戦してなんとか綱渡りでしのいできた結果に過ぎない。そんな著者の体験を共有しながら、自分も過去を振り返ってそうだったと共感し、少しだけ前を向く元気をもらえた。

 

そして本書が他の「仕事本」と一線を画すのは、著者が冤罪により逮捕され、拘留された経歴を持つ点だ。これはさすがに「普通の人」では経験できない。しかし、ここでも著者はあきらめなかった。自分にできることに焦点をあてて、ぶれずに自分を貫いた。そして、それを支えたのは人間関係と、読書。思うに、「芯が強い人間」などいないのだろう。人は支えてもらえないと、簡単に折れる。人を支えるのは人なのだ。リアルな人間関係がなくても、読書の先に(場所や時間を超えて)人はいる。漫画「チ。」でも言われているとおり、「文字は奇跡」なのだから。

 

 

仕事の人間関係は貸し借りではなく、むしろ、「また一緒に仕事したいですね」と思えることが大切。

日常でどんなに苦しいときでも最低限、「食べて、寝る」ことをしていれば案外大丈夫なのかもしれません。

 

桜の季節

ようやく一週間が終わった。月曜から金曜まで仕事に飲みこまれ、帰宅は毎日子どもが寝てから。疲労困憊で週末を迎える。やるだけやってみて、もう駄目だと思ったら仕事を辞めれば良いのだ、と自分に言い聞かせる。

 

天気が良いので桜を観に出かける。しかし先週の雨で大分散ってしまったようだ。先週、両親が来訪したときがちょうど桜満開の時期で、少しくらいお花見に行く時間を取れば良かったと反省する。

 

いつも桜の季節は仕事に追われて桜を見逃すことが多い。桜の季節はあっという間だ。そして桜がはらはらと散って行く様を見ると、いつも兼好法師を思い出す。

 

花は盛りに、月はくまなきをのみ見るものかは。(中略)

咲きぬべきほどの梢、散りしをれたる庭などこそ、見どころ多けれ。(中略)

よろづのことも、初め終はりこそをかしけれ。

 

まあそれでも満開の桜はやはり素敵なので、もっと見たかったなと思うが。

両親が来訪して野球の試合を観る(+ステーキ肉の違い)

長男の野球の試合を応援するため、遠方より両親が来訪する。膝が痛い、腰が痛い、頭がしっかり働かない等とこぼしつつではあるが、それでも元気で居てくれてるのはありがたい話。リタイア後に大事なのは、健康維持と、好奇心を保てるかどうかなのだろう。

 

試合は白熱の接戦。あまり強くないチームだが、今日は初勝利ができるかも・・・とドキドキして見ていたが、最後は自力の差が出て逆転負け。長男がリリーフピッチャーで登板したが、まだ練習が十分でなかったのか、ストライクは決まらないし真ん中に投げては打たれ、敗戦投手となってしまった。投手というのは孤独なものだ。試合後に泣きじゃくる姿を見ると、親の方までつらくなってくる。しかし、これはこれで貴重な経験。私の両親も、頑張っている孫の姿を見られて満足した模様。

 

夕食はステーキを焼く。せっかくなので、とびきりの黒毛和牛のステーキにしようと高級肉を買って焼いたが、分厚過ぎたこともあってあまり上手に焼けない。ある程度の厚み(2㎝?)を越えると素人には手に負えないので、レストランでプロに調理してもらった方が良さそうだ。味は満足。確かに満足ではあるが、いつもの近所のスーパーで購入しているステーキと歴然とした差はあるか、と言われると・・・?金額にして2倍以上の価格差があったが、味わいにそこまでの差はないように感じた。家族も同様の評価であり、庶民の舌には超高級肉でなくても十分なようだ。

配置転換

配置転換。毎回思うが、転職した気分だ。新しい職場環境はストレス負荷が高いが、それは同時に労働者個人の成長を(強制的に)もたらすこともわかっている。分かっているが、しんどい。「背伸び」くらいなら良いが、負荷が高すぎれば個人はつぶれる。

 

レジリエンスが保てるかどうかが何より重要であり、(個人の元々の耐性もあるかもしれないが、)自分なりに心と身体の安定を継続させる工夫をしていかないといけない。仕事の面では、無理をしないこと、分からないことは分からないと正直に言うこと、人に頼れる場面はプライドなど捨てて頼ること、そして(がんばってやっても)限界が来たときには放り投げること。またプライベートの面では、運動(筋トレやウォーキング)、読書、そして睡眠時間の確保を優先することを忘れないように。

 

失われた貌

 

 

櫻田智也著。「ミステリが読みたい!2026年版」国内篇と、「週刊文春ミステリーベスト10 2025 国内部門」、そして「このミステリーがすごい! 2026年版」で1位を獲得したミステリランキング3冠の作品。主人公は警察官、日野雪彦。頼りなさそうな中年男性が、その冷徹な思考の中で真相を暴く王道のミステリー小説。最初は全く見えなかった真相が最後に示され、頭から再読するときに物語の構造や伏線の意味がくっきりと分かるのが、著者の視点(物語の設計図)が見えるようで楽しい。

 

本物語の味付け(にしてキーマン)は、バーのマスターだろう。このマスターとの会話こそが、鬱屈としたこの事件の展開に添える人生のスパイスだ。

「乾杯するほど、充実した日でもなかった」

「急にどうした。それでも今夜を楽しむ権利くらいあるさ」