雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

定年オヤジ改造計画

 

定年オヤジ改造計画

定年オヤジ改造計画

 

 

垣谷 美雨著。仕事と家事育児について、男女について、そして家族のあり方についての小説。

 

著者の主張を展開するためというか、「こうあってほしい」という結論ありきで物語を作ってしまっているので*1、主人公の設定がガチガチに古い男女観の持ち主となるのはある程度仕方がないと理解しつつも、あまりにもステレオタイプで非現実的だったかな。というかこの主人公、サイコパスなレベルに達していて少し怖いくらいだ。うつ症状の妻に対して、「身体は特に悪くないということは、なまけ病ということだよな」と本人に面と向かって言ってしまう(しかも淡々として)。これは怖い。こんなサイコパスと何十年間も一緒に暮らせるものだろうか。それとも、一般的に女性(妻)は男性(夫)をこのような存在と捉えている、ということか?

 

それはさておき、要は「自分のことを殿様のように「誰かが自分の世話をすることは当然」と認識して、自分の価値観に疑義を抱くこともなく絶対視しているので、周囲を見下している。」のがこの主人公なわけだ。もちろん、そんな人が他人とうまく付き合えるはずがないので、色々と支障が生じて変わらざるを得なくなり、過去への後悔を重ねつつも様々なことに気づき、少しずつ人間関係を取り戻していく。

 

確かに、そうした男性は少なくないかもしれない。日本において、仕事が家庭より重きを置かれてきたことの弊害なのだろうとも思う。どうして、仕事か家庭の二者択一なのだろう?定年後は第二の人生と言われることが多いが、「第二の人生」と言うからには、単に仕事を辞めるだけではなく、自分自身(居場所、人間関係、役割、考え方)を作り変えることが必要なのだと思う。

 

*1:だから、登場人物の会話がやたら説明口調で、予定調和的で、まるで研修テキストのようだった。