雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

李白

 

李白 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)

李白 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)

 

 

 筧久美子著。詩仙李白の詩について解説しながら、彼の人生を追う書。本書最後の中国地図を見ると、彼がいかに長い距離を旅していたのかが良くわかる。当然のことながら鉄道すらない時代に、なんともすさまじい行程だ。詩は人生なら、旅もまた人生。今日は私も出張だったので、移動中に本書を読んでいた。

 

 酒を愛した詩人として有名な李白だが、決して楽しい酒を詠うばかりではなく、むしろ詩に込められているのは彼の孤独と、自らの不遇への嘆きだ。活躍の場をつかめなかった者は、いつの世にもいるということ。仙人のように暮らしたいと思っても、人は独りでは生きられない。人の間にいるからこそ、孤独を感じざるを得ない。

 

 千年以上の時を超えても、李白の詩は読める。きっと私には大体の雰囲気レベルでしか理解できていないのだろうが、それでもその詩を美しいと感じることができる。時代も、国も、言語も超えて、何かが伝わってくるとは、なんとも不思議なことだ。