アガサ・クリスティー 著。健全で実益的な人生という日常が、何もない砂漠と無限の時間という非日常に晒されることで、実は自己に大きな欺瞞があること、本当は脆い基盤の上に立っていることに気が付く。しかしそれは一瞬の夢であり、現実に戻ればまた元の日常に戻る。
人は、見たいように見て、聞きたいように聞く生き物だ。そうして構築した人生の土台は、脆い。しかし、本当のことを知らないままで一生を過ごせるはずもなく、いつか真実に向き合わないといけないときがくる。・・・それが幸せなことかどうかは別にして。
訳者の日本語に若干の違和感を抱きつつも、読み応えのある一冊だと思った。