雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

翔ぶが如く


 9月下旬から見続けて、ようやく第一部を観終わった。見応えのある重厚なドラマは、さすが司馬遼太郎原作ということもあるし、役者が素晴らしいということもある。西田敏行(西郷吉之助)、鹿賀丈史(大久保正助)の主役二名がとにかく良い。薩摩と日本にかける熱い思い、武士としての芯の通った生き様、そして比類なき友情を余すところなく魅せてくれる上質の、まさに大河ドラマにふさわしい演技であった。主役2人を除けば、田中裕子(岩山いと)の存在が群を抜いて印象的であった。少女時代の情熱や勇ましさと、妻および母親としての純粋さと力強さを天才的な演技力で見せてくれた。この3名の役者を見るためだけでも、このドラマは観る価値があると思う。


 江戸末期、各藩の武士が殿様から下っ端の若者までが時代の流れを感じつつ、藩または日本を憂い、多くの血を流して明治という新しい世を生み出していった過程がまざまざと描かれている。長年続いた徳川の世は簡単には倒れず、紆余曲折があった中で、西郷、大久保だって数多くの苦難を乗り越えて、しかも坂本龍馬などの志士の屍を乗り越えて、維新という大事業を成し遂げたのだ。この大きな政治の流れと、男同志の友情とを巧みに描いた脚本に感服する。私は感動のあまり、2話に1度は泣いて、妻に笑われていたような気がする。