雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

異邦人、屈辱ポンチ

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

屈辱ポンチ (文春文庫)

屈辱ポンチ (文春文庫)


 今回の旅のお供は、カミュ町田康。「異邦人」は、世界に「価値」や「重要性」を見いだせず、刹那的な欲望のままに生きる異端者が、それでも己にとって誠実に、幸福を感じながら生きることが出来るという希望を描いたと解釈してよいのではないか。


 どのように生きようが、いつ死のうが、神がいようがいまいが、それらは大して重要なことではなく、そして人間はどのような状況や価値観にも慣れることができる。この徹底的に冷めた視点が一貫している主人公ムルソーは、あらゆる社会にとってまさに異邦人なのだろう。個人的には、その前提にたってなお、何を選ぶかという意志と偶然性によって人生を紡ぐことこそが生きることではないか、という風にも思うのだが。