雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

シッコ (sicko)

シッコ [DVD]

シッコ [DVD]


 「華氏911」のマイケル・ムーア監督。さすがに話の展開が上手い。論理と感覚の2面で執拗にメッセージをぶちあげ、かつ不要な(邪魔な)事実は容赦なく切り捨てることによって、強烈な主張を生み出している。映画館で観るよりも、DVDで行ったり戻ったりしながら観るほうがいいかもしれない。しかし、アメリカの医療費は本当に高いな。医療費で患者が破産するというのは、国民健康保険制度が無いこととは別に問題があるとしか思えない。



 この映画単独でみると、米国の医療保険制度について描かれている作品、となるのだが、監督の視点はもっと深い。

  • 「私」を考えるのか、「私達」のことを考えるのか。
  • 良い社会とは、暮らしやすい社会とは何なのか。
  • 私達は何を求めているのか、今欲しているものは本当に心から求めているものなのだろうか。
  • 現状に絶望して受け入れるのか(または出て行くのか)、もしくは現状や常識を疑い何かアクションを起こすのか。


 イギリスの元国会議員T・ベン氏の言葉が印象深かった。

国民は言った。
「1930年代には大量の失業者が出たが、戦争中は出なかった。戦争で完全雇用できるなら病院や学校を建てても出来る。看護士や先生を雇え。人を殺す金があるなら人を助ける金もあるはずだ」

国家の支配には2つの方法がある。恐怖を与えることと士気を挫くこと。教育と健康と自信を持つ国民は施政者にとって扱いにくいものだから。世界人口の1%が80%の富を独占している。よく皆は耐えていると思うが、貧しく、士気を挫かれ、恐怖心があるため、命令を聞いて最善を祈るのが一番安全だと思っているんだ。