雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

イングロリアス・バスターズ(INGLOURIOUS BASTERDS)

 やはりクエンティン・タランティーノ監督は素晴らしい。タランティーノ作品は、「最高」と「最悪」の2極評価がほとんどなので、平均評価が全く参考にならないのだが、今回も見てよかった。Reservoir Dogs(レザボア・ドッグス)が記憶の中で蘇ったね。


 密室劇による極度の緊張と、それをぶち壊す過激な暴力*1。間抜けな人々が物語を動かし、それでいて冷酷にも次々に死んでいき、そして後には何も残らない。タランティーノにとって、おそらく映画はおしゃべりと同様に、長く楽しく格好よく、そして無意味なものなのだ*2。強いて言えば、もう少し笑えるシーンがあると良かったと思うが、戦争映画で復讐がメインテーマでは、それも難しいか。


 登場人物の中で、圧倒的なインパクトを残したのは、やはりクリストフ・ヴァルツ演じるハンス・ランダ大佐。いやらしいほどに多彩な表情と、観客に胃が痛くなるような緊張感を醸し出す台詞回し。最高でした。

*1:映画を観ていて思い出したのは、範馬勇次郎の「闘争とは力の開放だ。力み失くして開放のカタルシスはありえねぇ」という台詞。

*2:この映画を観て、頭の皮を剥ぐことにどのような意味があるのか、と考え込んでしまう人は、ややナイーブ過ぎると思う。まあ、確かに不必要にグロいとは私も感じるけれども。