雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

インド旅行2:ママラープラム滞在


 目が覚める。やたらと暑い。天井でギシギシ音をたてながら廻っているファンのおかげでなんとか眠ることができたようだ。窓には網戸があって、蚊もほとんどいない。外は快晴。ということで、インドで迎える初めての朝は、意外にも快適だった。


 さて、これからどうするかを決めなくては。シャワーを浴びるか、朝食にするか、それともとりあえず街を散歩してみるか。・・・ここでふと疑問がよぎる。果たして私は今どこにいるんだろう。本当にこの町はママラープラムなのか、仮にそうだとしても、このホテルは街のどこにあるのか、・・・インドにいることは、間違いないよな。と、何の手がかりも無くあれこれ考えても答は出ない。とりあえず外に出てみよう。


 部屋を出ると、階段が見える。この階段、どうやら屋上に繋がっているようだ。上って辺りを見回してみると、周りは木々に囲まれており、その緑と、隙間に低層の建築物が点々と見える。後ろを振り返ると、すぐそこに海が見えた。なるほど、このホテルは海からすぐ近くにあるのか。ママラープラムは海沿いの街だから、やはり私はママラープラムにいるようだ。ホテルの名前を聞くため、階段を降りてフロントに向かう。何故かフロントの前で従業員と思しき男が2人ほど地面で寝ていた。・・・インドではこれが普通のことなのかもしれない、と自分を納得させ、受付に置いてあるホテルの名刺を見ると「Lakshmi Lodge」と書いてある。LPで調べてみると、安宿欄にちゃんと掲載されている。ホテルの位置を地図で確認し、ようやく自分がママラープラムにいることが理解できた。何もかも順番が逆のような気もするが、まあ旅をしていればそういうこともあるだろう、と自分を納得させる。


 さて、とりあえずは少し街を歩いてみよう。水はどこで売っているのか、レストランはあるのか、バス停はどこか、両替所はどこだ、ネットカフェはあるのか・・・と、そのときになってから一々探すよりも、特定の目的をもたずにとりあえずぶらぶらと歩いてみる方が楽しそうだ。



 道路のど真ん中を牛が歩いている。・・・野良牛!?と、そんなことに驚いているのは私だけのようだ。インドではこれは普通のことなのかもしれない。


 ホテルの周囲には様々なお店が並んでおり、店頭には大抵誰かが椅子に客に声をかけている。私も前を通ると「ハーイ、ジャパニーズ」とか「コンニチハ、アリガート、オミヤーゲ」みたいな感じで「営業」される。たまには「アンニョンハセヨ」と言われたりもするが、まあ、日本人と韓国人を外見で区別するのは至難の業だろう。


 それにしても人が多い。どこに行っても人がいる。店の仕事をする人、屋台を開いている人、ココナッツを売る人、それらのお客さん、掃除をする人、歩く人、座って一服して居る人、皆路上を歩くとその姿が視界に入るので*1、やたらと人が多く感じる。それに加えて常にクラクションを鳴らし続ける車、更に牛、それら全てによって舞い上がる土埃。インドは実に騒々しい国のようだ。


 両替をしたり、ミネラルウォーターを買ったり、ネットカフェでメールを送ったりしてブラブラしていると、とあるホテルのオーナーに声をかけられる。「安い、キレイ、見るだけ」としつこいので、とりあえず部屋を見てみると確かに清潔そうな部屋だ。風通しも良さそうだし。昨晩泊まったLakshmi Lodgeは確かに安かったのだが、あくまでタクシーの運転手に薦められて(というか、他に選択肢が無かったので)泊まっただけだし、何も日本のサラリーマンが一泊300RS(≒900円)の部屋に泊まる必要も無いだろうと思い、ホテルを変えることにした。で、新ホテルである「STARRY SKY GUEST HOUSE」の価格はと言うと、一泊400RSとのこと。やっぱり安いなあと思い、どうせならここに2泊くらいしようかなどと考えていると、オーナーが「今泊まっているところはどこで、いくらだ」と聞いてくる。Lakshmi、エアコン無しで300RSだ、と素直に答えると「よし、250RSでどうだ」といきなりディスカウントしてくる。・・・さっきの400RSはボッていたのかよ、と思いつつも、予想外の値引きに即決する。一泊750円か。


 昼ご飯:チキンカレー、ペプシコーラ


 海沿いを散歩。半ズボンだけで海岸を歩く。太陽と青い空、広い海を前にして、歩きながらぼんやりとそれらを眺める。自分が旅人であることをようやく自覚する。何の責任も無く、誰とも関係性を持たず、ただ、異国に一人ぼっち。不思議と寂しさはなかった。本当にひとりになったとき、寂しさも喜びも怒りも悲しみも感じなくなるのかもしれない。楽で気持ち良い部分もあるし、浮遊感の中で何の意欲も湧かずに停滞する部分もある。そんなことをぼんやりと考えながら、海沿いを歩く。


 ホテルで少し休んだ後、シャワーをしてから街中を歩く。ママラープラムは彫刻の街。街中に遺跡が多数ある。アルジュナ、バターボール。丘の上から海と反対側を見る。山羊?美しい大地が永遠に続く。夕日を眺めるなんて久しぶり。


 事件。


 海沿いのレストランで食事。海鮮料理でも味付けはカレー。海沿いに無造作に作られたブランコで遊ぶ親子。自分の子供の頃を思い出す。日本もインドも、家族というものは温かみがあるものだ。星が綺麗だった。


を食べ、

*1:「店内」という概念は両替所とホテルと一部のレストランくらいにしかない。後は皆「外」にいる。