雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

単純に誇らしく。

 NHKスペシャル『地球大進化(第6集)』を見た。映画「天国と地獄」を見て以来好きな俳優である山崎努が番組進行役をしていることもあって、このシリーズは最初から見続けてきたのだが、今回ようやく人類が現れてくれた。いやー、ここまで長かった。


 道のりは常に険しかった。幾度もの絶滅の危機と、それへの適応。生物が絶滅しなかったのは、神に選ばれたものが生き残ったからでも「人類に通じる優れた種」が進化を続けてきたからでもなく、多様な生物が存在していたからだ。多様性は生存の可能性を意味しており、ある時代の環境に耐えられた種が、そのときは偶然生き残ることが出来たということに過ぎないようだ。あらゆる種が、色々な方向で進化してきた。しかしその方向が正しかったのかどうかは全て結果で判断される。その意味で、「進化」という言葉にはどこか嘘のにおいがする。


 これまでの生物が将来を見据えて進化してきたはずもなく、ただ現実の過酷な環境に適応しようとそれぞれの一生を懸命に生きてきたのだろう。その一点だけにおいて、私は過去の生物に共感することが許される。未来よりも、現実への適応が第一なんだ。ヒトもまた生物の進化の途上に過ぎない。


 そんなことを考えながら歩いていると、自分が二足歩行であること、両手(前足)で荷物が持てること、背骨に海を抱えていること、目が顔の正面についていること、表情があること、言葉を使うこと全てがありがたく、感謝の気持ちが身体の内から溢れてきた。泣き出しそうになる一方で、無性に走り出したくなってしまう。現実はいつも厳しいぜ。でも、46億年の記憶を誇りに適応していくしかないのだ。