雑記帳

関西在住の中年男性による日々の雑記です。

サ道

Amazonプライムで「サ道」を観る。ドラマであり、サウナの解説番組であり、各地のサウナ紹介もある。淡々とした展開、静かな台詞回し(原田泰造ってこんなに上手な俳優だったっけ?)、そして幸せそうなサウナー。エンディングの曲も素敵。まったり渋い。家族が寝た後で、中年男性が夜中に観るにふさわしい番組だ。観ているうちに、サウナ体験をしたくなってきた(私も「ととのって」みたい)。

ブルーマンデー

最近、長男は月曜日になると学校に行きたがらない。沈んだ顔をして朝ごはんをモソモソ食べて、着替えをして、忘れ物がないか確認し終わっても表情は暗いまま。そして出発の時間が近づくと身体が動かなくなり、しくしくと泣き出してしまう。

 

「どうしたの?」と聞いても、返事は「行きたくない」とだけ。どうして行きたくないのか尋ねても「忘れ物をしたら怒られるから」など、もうひとつ腹に落ちない回答(それはそれで彼なりの理由なのだろうが)。ここで「いいから早く学校に行きなさい。遅刻するでしょ」と無理やり家を追い出したところで意味がないし、とはいえ、ずっと家の中で泣き続けるのを放っておくのも無策だし・・・。

 

これは不登校の始まりだろうか、もしや学校でいじめられているのか、などと心配もするが、他の曜日はすっと出かけているし、週末はクラスの友達と遊ぶのが何よりも楽しみだし、どうもそれは違いそうだ。となると、これはブルーマンデー症候群なのではないか、とあてをつける(名前がつくだけで安心するタイプ)。もしそうなら、私と同じということか。それなら「解決」はできなくても、「共感」することくらいはできそうだ。

 

長男の嗚咽が治まったところを見計らって、今日はお父さんと一緒に行こうかと声をかけると、鼻をかみながらうなずく。家を出て、一歩踏み出し、手をつないで学校に向かう。「お父さんもね、月曜日は仕事に行きたくないんだよ。」「そうなの?」「そうそう。本当は毎日行きたくないんだけど、特に月曜日はね。」「なんで月曜日は嫌なんやろ。」「理由はいろいろあると思うけど、やっぱり楽しい休みが終わってしまうのが嫌なんじゃないかな。土日は楽しかった?」「うん。」「学校は嫌い?」「別に普通。友達と遊ぶのは好き。先生はちょっとこわい。」「そうか。でも水曜日とか木曜日の朝は出かけるの平気だろう?」「うん。」「金曜日は一番弱いんだよ。」「たしかに金曜日は弱いかも」「で、月曜は最強なんだ。ブルーマンデーって言葉があるくらいでね、最強の月曜日にはだれも勝てないんだよ。」「お父さんも勝てない?」「全然勝てない。お父さんみたいに月曜日に負け続けたベテランは、もう日曜日の夕方から憂鬱になってるからね。」「へー、そうなんだ。」なんて、適当な話をしながらゆっくり進む。

 

小学校が見えてきた。長男の足が止まる。また涙が出てきてしまう。しばらく待って、涙をふいて、帰ったらAmazonプライムでドリフの全員集合を一緒に見ような、と約束して、また一歩踏み出して、校門をくぐる。何か見えない大きな壁を、少しずつ乗り越えようとしているような姿に胸を打たれる。つないだ手が、やたらと熱く感じた。

 

それじゃ、お父さんも行きたくないけれどお仕事に行ってくるよ、と別れようとするとまた足が止まり、涙があふれる。玄関前で泣きじゃくる長男を見て、校長先生が近寄ってきた(いつも校門に立って子どもに朝の挨拶をされている)。大げさに心配するでもなく、軽薄に励ますでもなく、「どうしたの?つらいの?」と傍に寄り添って話を聞く姿勢に感謝する。長男の表情や仕草から行けそうだと直感したので、頭をくしゃっとつかんで、じゃあねと別れ、職場に電話して「すみません、一時間有休とらせてください」と伝えてから駅に向かう。

 

こちらはその後も色々心配するのだが、家に帰って本人から話を聞くと、すぐに教室に入って授業を受けて、休み時間は友達と遊んで、「今日は普通だったかな」なんて言う。まったく(笑)。というわけで、毎週月曜日の朝は大体こんな感じだ。大変と言えば確かに大変なのだが、一方で、親子でそれぞれものすごく大切なレッスンを受けているような気もしている。

Love Never Felt So Good

Michael JacksonJustin Timberlakeのデュエットバージョン。MVはマイケルへのリスペクトに満ちており、あまりの素敵さに涙が出てくる。みんなマイケルが好きなんだなということが伝わってくる。やっぱりマイケルのダンスはかっこいいな。 

 


Michael Jackson, Justin Timberlake - Love Never Felt So Good (Official Video)

 

フレア

Superflyのフレア。NHK連続テレビ小説「スカーレット」の主題歌。メロディと歌声がマッチしていて心地よい。何回聴いても聞き飽きないのがすごい。

 


Superfly-フレア(Music Video) NHK連続テレビ小説「スカーレット」主題歌

 

そうか、もう君はいないのか

 

そうか、もう君はいないのか (新潮文庫)

そうか、もう君はいないのか (新潮文庫)

  • 作者:城山 三郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/07/28
  • メディア: 文庫
 

 

城山三郎著。長きにわたる幸福な日々が、淡々とつづられる。だからこそ、妻がなくなったときの「そうか、もう君はいないのか」が重く感じられる。こんな夫婦でありたいと思うけれども、夫婦の色はそれぞれ違うもので(時代も随分違うし)。

 

ルポ トランプ王国2: ラストベルト再訪

 

ルポ トランプ王国2: ラストベルト再訪 (岩波新書)

ルポ トランプ王国2: ラストベルト再訪 (岩波新書)

 

 

金成 隆一著。前著「ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く」に続き、アメリカ人の生の声を聴き、現代アメリカの姿を浮かび上がらせると同時に、日本にいては感じることのできないトランプ大統領への評価を記述する本。

 

アメリカという国は、本当に多様性を象徴する国だ。多様な宗教、多様な民族、多様な思想、地域間格差、そして貧富の差と、本書は複雑なアメリカの一面を描き出す。

 

前著でも思ったことだが、アメリカの分断(断絶)の深さとトランプ大統領への期待の強さは、日本にいては理解できないレベルだ。前回の大統領選の分析にるとよ反ヒラリー票が相当多かったようで、「トランプが勝った」というよりも「ヒラリーが負けた」という説明を聞いて腑に落ちた。そして、「反ヒラリー」は、「反エスタブリッシュメント」なのだ。

 

競争は、勝者と敗者を分ける。分断された集団は、一体感を持ちにくい。グローバル化は、この競争を激化する。勝者は、より少数派になる。競争に敗れた者が多数派になるとき、民主主義はどう機能するのだろう。言葉に、そして信条に対して誠実でない政治家が、多数派の敗者に何と語り語りかけるかは、容易に想像できる。スケープゴートを持ち出して「悪いのはあいつらだ。私はあなたがたの味方です。」と分断を煽り、真の問題から目をそらせることだろう。甲本ヒロトが歌った通り、弱い者たちが夕暮れ、さらに弱いものをたたく。

 

これだけコミュニケーションツールが発達しているにもかかわらず、対話の難しさは一向に解消されない。いや、人間が「自分の見たいように物事を見て、自分の聞きたいように話を聞く」存在であるならば、むしろチャンネルが多様になっていくにつれて、人は自分の気分を良くしてくれるメディアを固定してしまい、断絶は深くなっていくのかもしれない。

 

父親の世代よりも豊かになることが難しい状況を指して、「アメリカン・ドリームはもう手に入らない」という本書の台詞は印象的だった。前著を読んだ時にも感じたことだが、アメリカの状況は、決して日本と無縁ではない。